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LEDソーラーライト利用 メロディーICコントローラ

2013年11月
メロディーICを使ってクリスマス工作をやろうと思い、間に合うように今から開始。
LEDソーラーライトの中身」を電源として使ってみるのに丁度良さそうなので組み合わせてみました。


LEDソーラーライトを電圧源にする
100円ショップのLEDソーラーライト(以下、ソーラーライト)のLEDの代わりに何らかの回路をつないでも、都合よく動作してくれません。「LED点灯専用回路」と紹介される理由(ワケ)があります。それを何とか汎用の電圧源にしてみます。
ソーラーライト内のICはよくある黒丸で型番は不明です。配線パターンから判断してCL0116のつもりで話を進めます。
※インダクタのカラーコードは橙か赤か、茶か黒か判断しづらく、一応330uH(橙橙茶銀)と読める気もするような、しないような、といった感じです。


VINを電池に置き換えると対比として分かりやすい。
VOUTは出力XXボルトを保つようスイッチングを制御するために電圧を監視する端子。

ソーラーライトの基本動作
CL0116はソーラーバッテリーが発電中(周囲が明るい)は充電池(Ni-MH 1.2V)を充電します。スイッチング動作は停止中で昇圧されません。また、LEDには電池電圧1.2Vがかかりますが、白色LEDのVFは3.6Vそこらなので点灯しません。仮に赤色LED(VF=1.8V)に差し替えても点灯しません。
ソーラーバッテリーが停止すると(周囲が暗い)スイッチング動作が開始され、1.2Vから昇圧された電圧がコイルに発生します。何ボルトと決まった値ではなく、負荷に見合った大きさで発生します。
コイルに発生する電圧は交流的に変化しています。CL0116のスイッチング周波数は100kHzです。

電圧源にするポイント
ソーラーライトのLEDを取り外して何らかの回路を接続しても期待通りに動作しません。解決には同じ仕組みの昇圧コンバータHT77xxシリーズ(HT7733, HT7750など)の回路がヒントになりました。
HT77xxではコイルの先のダイオードが、発生した電圧を整流しています。CL0116には付いていませ…付いています。負荷であるLED自体がそれです。そのLED(整流目的のダイオードとして見たLED)を外してしまったら、接続した回路は動作しません。
LEDのカソードとGNDの間に回路を挟めば動作します。ただ、無駄に光らせる必要はないのでLEDを適当なダイオードに取り替えます。さらにHT77xx同様、電流を平滑化するためのコンデンサを取り付けます。

CL0116から発生する電圧は、回路から要求される電流の大きさに応じて3Vやら6Vやら変化します。ICを接続するには定電圧でないと困るので、三端子レギュレータ、シャントレギュレータ、ツェナーダイオードを利用します。
※3.3Vの三端子レギュレータと2.5Vのシャントレギュレータで動作確認しました。

もともと1.2Vの充電池で白色LEDを点灯させることが目的の電源なので、接続する回路の規模も限られます。消費電流は数十mAまで、5V以下の定電圧化、あたりが無難だと思います。

メロディーIC UM66T01L
メロディーIC UM66Txxシリーズ。その中でUM66T01Lはクリスマスソング3曲入りです。
1.3〜3.3Vで動作し、適正電圧は1.5Vです。電圧を変えると演奏のテンポが変化します(音量も)。
必要なスピーカーは、「電圧を掛けただけで発音する」と言われる発振回路内蔵タイプのものではなく、単なる圧電スピーカー(ピエゾ・ブザー)です。※高さのあるコロコロした形のものではなく、平たい形のものです。
演奏中はICとスピーカー合わせて2mAくらい流れます。

UM66T01Lの音量を電気的に調整する方法はありません。圧電スピーカーの中心に空いている音出し用の穴をセロハンテープでふさいで(重ね貼りして)調整します。

電圧でテンポが変化する様子
動画は、最低電圧の1.3V、乾電池を想定した1.5V、充電池2本を想定した2.4V、最大電圧の3.3Vでの聞こえ方を紹介しています。
動画の最初の方は音量が小さいので、プレイヤーのボリュームを上げてください。ただし最後の方になるにつれ音量が大きくなっていくので、ボリューム上げすぎに注意してください。
演奏デモ
周囲が明るいときは充電モード、暗くなると演奏開始。メロディーが1周したら停止するよう、マイコンで制御しています。停止制御しないと、再び明るくなるか電池が尽きるまで演奏がループし続けることになります。
動画の音量が小さいので、プレイヤーのボリュームを上げてください。

回路図と配線図
回路図

プログラム
ダウンロード UM66T01LMelodyTimer.zip
HEXファイル、Cのソース
開発環境:Windows7/64bit, AtmelStudio6

配線図
回路の説明
回路は電源部と制御部に分かれます。
電源部は「LEDソーラーライトを電圧源にする」の説明通りの設計です。抵抗R1はTL431の入力電圧と回路の消費電流から100Ωくらいと計算しました。

制御部はAVRマイコン ATtiny10です。A/Dコンバータが1ch、外部割り込みが1つ、I/Oが1つ取れれば他の品種でも構いません(ケースに入れば)。

メロディーIC UM66T01Lは電源ONの間、ループ演奏します。ループの切れ目を検出することはできないので、半固定抵抗VR1で演奏時間を決め打ちします。消費電力節約のため抵抗値は大きめです。

消費電力節約のため、演奏停止中はマイコンをパワーダウンモードでスリープさせます。復帰するには外部割り込みが必要です。それがスイッチSWです。演奏中の停止ボタンも兼ねています。

UM66T01Lの適正電圧1.5Vを半固定抵抗VR2で作ります。正確に1.5Vでなくても構いません。さらに言うと、固定抵抗で値を決め打ちしても構いません(配線図を参照)。

完成写真
メロディーIC(写真・左の右上)はシリーズの別の型番と交換できるよう、ソケットに挿しました。
ATtiny10も抜き差しできるよう、ICソケットを利用しています。背を低く取り付ける必要があるため、ICソケットを基板にめり込ませたり、変換基板の足をリード線にしたり、小細工工夫しています。
ケース内で各パーツを固定するのが難しく、プラ板で補助具を作ったり両面テープを活用しています。

使い方
クリスマスカードを立てる台座にしたり、クリスマスツリーに仕込んでも面白いと思います。
あらかじめ半固定抵抗VR1を調整し、演奏が丁度1ループで止まるようにしておきます。演奏時間は最大約50秒まで設定できます。
周囲が明るいとき
充電モードです。制御部は電源OFF状態です。
ボタンを押しても反応しません。周囲が暗くなると自動的に演奏開始します。

周囲が暗いとき(ソーラーパネルを手で隠したとき)
演奏モードです。制御部は電源ON状態です。
演奏開始後、設定した演奏時間で停止し、待機状態に移行します。
ボタンを押すごとに演奏開始/停止します。
周囲が明るくなると、演奏中でも待機中でも中断し、充電モードへ移行します。

部品について
この工作は「LEDソーラーライト」ありきです。もしそこから自作するなら、CL0116やCL0117のデータシートを参考に部品を揃えてください。どちらも秋月、他で入手できます。

ATtiny10は変換基板に実装済みのものが秋月で販売されています(通販コード I-05174)。お勧めです。
メロディーIC UM66Txxシリーズは比較的メジャーな部品なので、共立エレショップの他、秋月などでも入手できます。
圧電スピーカーも大抵のパーツ屋で入手できます。例えば秋月なら PKM13EPYH4000-A0、他。

電解コンデンサC1,C3はどちらも積層セラミックコンデンサでも構いません。値も10uFまでを目安に適当に。
積層セラミックコンデンサC2はATtiny10のパスコンです。工作例ではチップ品を変換基板のウラ面に取り付けました。

工作例では半固定抵抗VR2を固定抵抗2本で置き換えました。4.7kΩと10kΩを使い、約1.6V得ています。


メロディーICコントローラ 部品一覧 (回路図はここをクリック
部品名 部品番号 個数 参考価格/備考
LEDソーラーライト -- -- 1 100円ショップ
シャントレギュレータ U1 TL431 1 NJM431Lでも可
AVR(マイコン) U2 ATtiny10 1 100円(秋月電子
変換基板に実装済みのもの
メロディーIC U3 UM66T01L 1 100円(共立エレショップ
ダイオード D1 1N4148 1 --
電解コンデンサ C1,C3 1uF 2 --
積層セラミックコンデンサ C2 0.1uF [104] 1 10個100円
抵抗 R1 100Ω [茶黒茶金] 1 100個100円
半固定抵抗 VR1 100kΩ 1 --
半固定抵抗 VR2 10kΩ 1 または固定抵抗2本
タクトスイッチ SW -- 1 --
圧電スピーカー -- KPEG-169 1 圧電サウンダ他励振タイプ(端子)
66円(共立エレショップ)


◆ ◆ ◆
LEDソーラーライトを電源に利用しました。定電圧源として使うのは少々面倒でした。
単なる昇圧コンバータが目的ならHT77xxシリーズが向いていると思います。
ソーラーパワーとケースに利用価値があるかどうかが採用基準となるでしょう。


(C) 『昼夜逆転』工作室 [トップページへ戻る]